ふれいざー 経済生活 第一話

経済あれこれ  第一話 (2012年1月号)

日本人の資産フライトが加速している!

1980年初頭から、レベレッジの時代といわれ、お金を借りて物を買い出し、個人、企業、国の借金が膨らんでいる。個人は車、家をローンで、電化製品、食料、レストランの支払いは、クレジットカードで簡単にすませる時代だ。会社は社債、国は国債を発行して簡単に資金を調達できる。こうして30年間に個人、企業、国が積み上げた借金は膨大な金額に上る。個人、企業の借金を減らすには2つの方法がある。1つは借金を返済する。払えなければ、デフォルト(債務不履行)して借金を帳消しにする。ただ、国の借金減らしは、そう簡単にはいかない。増税し、緊縮財政で支出をカットすれば、政治家はすぐに職をなくすのでなかなか手をつけれない。それで、日本は世界一の借金国家になってしまった。日本の公的債務は1,000兆円に上り、GDP(国内総生産)の200%に達し、米国の160%をはるかに超える。米国債の65% は海外投資家が買っているが、日本国債は95%を日本の金融機関が買っている。米国債10年物の利回りが2%、インフレ率が3%なので、実質1%の損となる。しかし、日本人は利回り1%の国債を買って満足しているのは、20年にわたり2%のデフレで、実質3%の利益という計算からだ。この低金利が国債の利払い負担を低位安定させる効果をももたらした。

しかしながら、ここにきて、日本の少子、高齢化が進み、貯蓄を取り崩して生活する人の比率が一気に増え貯蓄率が低下すると、近い将来、国内での国債購入余力の減少を招き、国債を買い支えられなくなることが問題になっている。それに加え、大震災、原発事故で巨額の復興コスト、景気後退、輸出の減少という”想定外“の不安要因がにわかに浮上してきた。数十兆円にも上る復興コストを確保するには、国債の大量追加発行は不可避のため、日本国債の先行きに新たな不安要因となっている。

つまり、震災ショックから、くすぶり続ける”日本国債暴落説“が勢いづいてきたのだ。日本にもデフォルトの可能性がでてき、欧州の問題は他人事ではなくなり、日本の財政破綻のリスクが高まっている。そうなれば、株式、国債、円相場のトリプル安シナリオにもなりかねない。83人に 1人は億万長者の日本だが、何億の資産をもっていようと、日本の円は紙くず同然になり得る。

“自国通貨への信頼を失った人たちが、より安全な場所を求めて、超円高の今、資産を海外に移している。”ことをご存知でしょうか? 以前は、超富裕層に限られたことだったが、最近は一般の個人投資家にまで広がっている。リスクヘッジとして、個人レベルでも、虎の子の資産を海外に移すことが始まっている。

今まで、日本の個人投資家は、バブル崩壊の後遺症からか、日本のゼロ金利、20年を越す長期の景気後退にもかかわらず、海外投資へは消極的で内向き志向だった。その間、特にカナダの不動産、株式市場は右肩上がりで上昇した。しかし、世界で唯一、下がりっぱなしの市場にしがみついていた日本の個人投資家たちは、世界的上昇の波に乗り遅れた。

円だけで、資産をもっていると、将来、国家財政が破綻した場合、自分の資産価値も暴落する。また、今回の大地震、原発事故で、政府に対する不信感も高まり、“自分の資産は自分で守らなければ”という意識に目覚めた人たちは、超円高の今のうちに海外に資産を移している。 日本の将来に益々、不安をいだいている人たちが急増し、一般的な個人の海外への資産フライトに拍車をかけている。

将来、日本国債、米国債は紙くず同然となり得るリスクが高い。特に、米国債を膨大に抱える中国は今、世界の金、石油、ガス, 石炭、銅の鉱山、天然資源、不動産、鉄道、道路等の実態のある資産(Real Asset)にシフトさせている。

今まで、日本の中にこもっていた日本人もようやく、この大震災を契機に、危機意識に目覚め、従来、欧米、中国人がやっていたリスク分散投資としての海外への資産投資、不動産投資、さらには、海外に住むことまでをも視野にいれだしたということか。

そんな中、カナダにも日本からの資金流入が続いている。カナダは、石油、天然資源の宝庫、また政治的、経済的にも安定した国で安全な投資先とみなされているからだ。

最近の欧州債務危機のため、投資資金が欧州からも引き上げられて、北米に流入している。第一次、第二次世界大戦時、大量の資金が欧州から米国に流れた再来だ。しかも、従来通り、中国からもカナダに資金流入が続いており、カナダ経済は世界中からの資金流入により、これからも非常に堅調に推移するとみられる。
略歴

東京外国語大学卒業後、英国ロンドンの大和證券で日本株アナリスト、第一勧業銀行(現みずほ銀行)で日本国債トレイダー。その後、カナダRBCで5年間、投資、保険を担当。現在は、Canada Financial Groupにて、投資、資産運用、保険のスペシャリスト。金融部門30年のベテラン。ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。日本からのお問い合わせも承ります。

Financial Advisor

小林ヒロコ
Canada Financial Group
2200-1177 W. Hastings St, Vancouver, BC, V6E 2K3
Tel: 604-727-2320
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www.canadaeinvest.com

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