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Oct 14

日本のバブルよ、もう一度
その2
日本のバブル発生と崩壊
戦後の日本の高度経済成長から、米への輸出が増え、米の日本への貿易赤字は膨張した。そこで、米は輸入超過で膨らんでいた日本への借金を減らそうと考え、1985年9月プラザ合意で、G5諸国(日・米・独・仏・英)と協調介入する旨の共同声明を発表。しかし、これは実質、ドル安、円高にするという合意で、これにより急激な円高が進行した。1ドル240円前後だった為替相場が1年後に1ドル120円台まで急伸。円高になることで輸出が減り、不況になるのではないかと懸念した政府が金利を下げ、低金利政策が継続された。これが、不動産や株式への投機を加速させ、バブル景気加熱をもたらした。また、円高により、日本経済の規模は相対的に急拡大。バーゲンセールで、米国資産の買いあさりや、海外旅行ブーム、低賃金国への工場移転等が相次いだ。
日本では投機熱が加速、特に株と土地への投機が盛んになった。なかでも「土地は必ず値上がりする」といういわゆる土地神話に支えられ、転売目的の売買が増加した。土地を担保にお金を借りて、その資金で新たに土地や株式を買い増す。新たに買った土地が値上がりすることをあてこんで、それを担保にしてまた、お金を借りて土地や株式を買う、無限の連鎖が日本を覆った。
1980年代後半には東京の山手線内の土地価格で米国全土が買えるというほど日本の土地価格は高騰。日経平均株価は1989年12月のピーク時には最高値38,915円を付け、資産価格のバブル化が起こった。日本中に札束が乱れ飛んだ。
不動産や株式をはじめとした時価資産の資産価格が投機によって実体経済の経済成長以上のペースで高騰し続けるバブル景気は、資産価格の上昇と好景気、及びそれに付随して起こった社会現象である。ただし、人々が好景気の雰囲気を感じ始めたのは1988年からで、1991年2月のバブル崩壊後の数年間はバブルの余韻がまだ残っていた。
バブル景気は資産価格が高騰するほど、維持が困難になる。やがて資産価格が高い水準で均衡すると、もはや値上がり益を得られない。資産価格上昇により、土地や株式などの収益率が著しく低下していたため、金融緩和の終了で持続できなくなった。
株式や土地などの資産は下落し、一転して大きなキャピタルロスを抱える個人や企業が増え、キャピタルゲインを当てにして過大な投資をしていた企業や投機家が多大な損失を抱える事態となった。
1990年頃から、バブルは土地や株の高値を維持した投機意欲の急激な減退によってしぼんでゆく。また、政府による総量規制や日銀による金融引き締めがバブル崩壊に拍車をかける形になった。
株と土地が下がりだし、借金の担保割れで、貸出金を返済するか担保を増やさなければならない状態になったが、借金元手に値上がりを狙って、買いまくっていたので、借りたお金で投資していた人には、新たなお金や担保となる資産などどこにもなかった。
後に残されたのは借金の山だった。借り入れにより、土地投機を行っていた、不動産会社、建設会社、ゴルフ場会社、ノンバンクは次々と返済不能に陥った。株式運用に失敗して倒産した企業も続出。また、それ以上に土地を担保に融資を行った銀行やノンバンクの融資の焦げつきで、不良債権問題、金融機関大型倒産が軒並み増えた。国中を席巻した熱狂的な投機熱は一気に冷え込み、多くの企業や個人が泡のように消え、バブルが崩壊した。
株価も、1989年2月に最高値38,915円を付けたのをピークに暴落に転じ、湾岸戦争と原油高や公定歩合の急激な引き上げで、1990年10月には一時20,000円割れと、わずか9ヶ月あまりの間に半値近い水準にまで暴落した。
1993年から1997年にかけて不良債権問題や株価低迷によって大手金融機関が次々と破綻に追い込まれた。また、政府の経済政策の失敗も拍車をかけ、1997年以降の景気が急速に悪化。企業の倒産や人員削減による失業、新規採用抑制による苛酷な就職難が発生した。
政府は当初、大手金融機関は破綻させない、という方針を取っていたが、1995年頃より方針を変えた。1995年8月に兵庫銀行が銀行としては戦後初の経営破綻となり、以降、金融機関の破綻が相次いだ。1997年から1998年にかけ、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、山一證券、など大手金融機関が、不良債権の増加や株価低迷のあおりを受けて倒産し、事態は金融危機の様相を呈した。
かつて海外の不動産や資産、企業を購入して進出していた企業が、本業の業績悪化に伴い、撤退を余儀なくされた。三菱地所は、ロックフェラー・センターを、買収額を大幅に下回る価額で手放さざるを得ず、大きな損失を出した。
民間企業の倒産やリストラが相次ぎ、新規採用が絞られる中、一転して公務員の人気が高まった。バブル期には見向きもされなかった公務員だが、景気の動向に左右されにくいというその堅実性から公務員を希望する学生が増加した。
金融機関の不良債権問題が深刻になった時、早期に財政資金を投入して破綻した金融機関を救済すべきであったが、政府の対応も遅れた。早期に公的資金の注入をしていれば、問題の拡大を抑制でき、結局は国民の負担も少なくて済んだのではないかともいわれている。こうした反省から、2008年の世界同時不況の際には、金融機関にいち早く公的資金を投入するように日本が世界に働きかけ、比較的短期に不況を切り抜けた。

日本のバブルよ、もう一度 その2 (2012年10月号)

日本のバブル発生と崩壊

戦後の日本の高度経済成長から、米への輸出が増え、米の日本への貿易赤字は膨張した。そこで、米は輸入超過で膨らんでいた日本への借金を減らそうと考え、1985年9月プラザ合意で、G5諸国(日・米・独・仏・英)と協調介入する旨の共同声明を発表。しかし、これは実質、ドル安、円高にするという合意で、これにより急激な円高が進行した。1ドル240円前後だった為替相場が1年後に1ドル120円台まで急伸。円高になることで輸出が減り、不況になるのではないかと懸念した政府が金利を下げ、低金利政策が継続された。これが、不動産や株式への投機を加速させ、バブル景気加熱をもたらした。また、円高により、日本経済の規模は相対的に急拡大。バーゲンセールで、米国資産の買いあさりや、海外旅行ブーム、低賃金国への工場移転等が相次いだ。

日本では投機熱が加速、特に株と土地への投機が盛んになった。なかでも「土地は必ず値上がりする」といういわゆる土地神話に支えられ、転売目的の売買が増加した。土地を担保にお金を借りて、その資金で新たに土地や株式を買い増す。新たに買った土地が値上がりすることをあてこんで、それを担保にしてまた、お金を借りて土地や株式を買う、無限の連鎖が日本を覆った。

1980年代後半には東京の山手線内の土地価格で米国全土が買えるというほど日本の土地価格は高騰。日経平均株価は1989年12月のピーク時には最高値38,915円を付け、資産価格のバブル化が起こった。日本中に札束が乱れ飛んだ。

不動産や株式をはじめとした時価資産の資産価格が投機によって実体経済の経済成長以上のペースで高騰し続けるバブル景気は、資産価格の上昇と好景気、及びそれに付随して起こった社会現象である。ただし、人々が好景気の雰囲気を感じ始めたのは1988年からで、1991年2月のバブル崩壊後の数年間はバブルの余韻がまだ残っていた。

バブル景気は資産価格が高騰するほど、維持が困難になる。やがて資産価格が高い水準で均衡すると、もはや値上がり益を得られない。資産価格上昇により、土地や株式などの収益率が著しく低下していたため、金融緩和の終了で持続できなくなった。

株式や土地などの資産は下落し、一転して大きなキャピタルロスを抱える個人や企業が増え、キャピタルゲインを当てにして過大な投資をしていた企業や投機家が多大な損失を抱える事態となった。

1990年頃から、バブルは土地や株の高値を維持した投機意欲の急激な減退によってしぼんでゆく。また、政府による総量規制や日銀による金融引き締めがバブル崩壊に拍車をかける形になった。

株と土地が下がりだし、借金の担保割れで、貸出金を返済するか担保を増やさなければならない状態になったが、借金元手に値上がりを狙って、買いまくっていたので、借りたお金で投資していた人には、新たなお金や担保となる資産などどこにもなかった。

後に残されたのは借金の山だった。借り入れにより、土地投機を行っていた、不動産会社、建設会社、ゴルフ場会社、ノンバンクは次々と返済不能に陥った。株式運用に失敗して倒産した企業も続出。また、それ以上に土地を担保に融資を行った銀行やノンバンクの融資の焦げつきで、不良債権問題、金融機関大型倒産が軒並み増えた。国中を席巻した熱狂的な投機熱は一気に冷え込み、多くの企業や個人が泡のように消え、バブルが崩壊した。

株価も、1989年2月に最高値38,915円を付けたのをピークに暴落に転じ、湾岸戦争と原油高や公定歩合の急激な引き上げで、1990年10月には一時20,000円割れと、わずか9ヶ月あまりの間に半値近い水準にまで暴落した。

1993年から1997年にかけて不良債権問題や株価低迷によって大手金融機関が次々と破綻に追い込まれた。また、政府の経済政策の失敗も拍車をかけ、1997年以降の景気が急速に悪化。企業の倒産や人員削減による失業、新規採用抑制による苛酷な就職難が発生した。

政府は当初、大手金融機関は破綻させない、という方針を取っていたが、1995年頃より方針を変えた。1995年8月に兵庫銀行が銀行としては戦後初の経営破綻となり、以降、金融機関の破綻が相次いだ。1997年から1998年にかけ、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、山一證券、など大手金融機関が、不良債権の増加や株価低迷のあおりを受けて倒産し、事態は金融危機の様相を呈した。

かつて海外の不動産や資産、企業を購入して進出していた企業が、本業の業績悪化に伴い、撤退を余儀なくされた。三菱地所は、ロックフェラー・センターを、買収額を大幅に下回る価額で手放さざるを得ず、大きな損失を出した。

民間企業の倒産やリストラが相次ぎ、新規採用が絞られる中、一転して公務員の人気が高まった。バブル期には見向きもされなかった公務員だが、景気の動向に左右されにくいというその堅実性から公務員を希望する学生が増加した。

金融機関の不良債権問題が深刻になった時、早期に財政資金を投入して破綻した金融機関を救済すべきであったが、政府の対応も遅れた。早期に公的資金の注入をしていれば、問題の拡大を抑制でき、結局は国民の負担も少なくて済んだのではないかともいわれている。こうした反省から、2008年の世界同時不況の際には、金融機関にいち早く公的資金を投入するように日本が世界に働きかけ、比較的短期に不況を切り抜けた。

fraser_oct2012

Aug 29

第3話 資源大国になるか、日本? (2012年7月号)

メタンハイドレートと海底熱水鉱床

その2 海底熱水鉱床

海底熱水鉱床海底にある熱水鉱床である。海底を割ってマグマが噴き出すスポット”熱水鉱床”はマグマに含まれる金属の硫化物が海水で急冷されて固まった成分が積もるため、貴重金属の宝庫とされる。熱水鉱床は火山活動がみられる海底山脈や火山性列島の周辺海域に主に存在し、日本近海はこの条件にぴったりだ。メタンハイドレートとともに、熱水鉱床も地震が起きる所に多くある。

海底熱水鉱床には、鉛、亜鉛などのベースメタル、金、銀などの貴金属ゲルマニウムガリウムセレンカドミウムなどのレアメタルが含まれている。そのため、今日、海底熱水鉱床が熱い注目を浴びている。日本近海に眠るメタンハイドレードと併せると、日本は一気に資源大国、資源輸出国になることも夢ではあるまい。

日本は地震大国で、それは太平洋プレートがユーラシアプレートの下に沈みこむ際にプレート同士がぶつかりあう巨大な力によって発生する。火山の噴火も太平洋プレートの沈降に伴い、マグマが絞り出されることによって引き起こされる。海底でも火山は活発に活動している。海底火山からは断層などから浸透した海水がマグマによって熱せられ、海底の割れ目から噴出する。これが熱水である。そして噴出口の周辺には、熱水に含まれる金属成分が沈殿し堆積する。堆積物はチムニーと呼ばれる煙突状の塊になることもある。そのチムニーが成長し、崩れ、その隙間を堆積物が埋めていく。こうやって長い時間をかけて形成されたのが海底熱水鉱床である。

政府は2007年より「海洋基本計画」を推進、海底熱水鉱床およびメタンハイドレートなどを開発し、10年内を目処事業家することを目指し調査を進めている。2010年伊豆沖縄付近の数箇所で有力な海底熱水鉱床が確認されている。

他国でも海底熱水鉱床からの資源回収事業化された前例がなく、技術的課題含めて検討すべき事項多々あるが、資源乏し日本自国排他的経済水域安定的資源回収できる可能性がある事業として期待されている。

海底熱水鉱床に限らず、メタンハイドレートや石油・天然ガスなど海洋資源開発は海洋国家である我が国の生命線であり、それこそ50兆円を超えるような金属埋蔵量があるのならば将来的に日本が資源輸出国に転じることも夢ではあるまい。排他的経済水域、世界第6位の広さをもつ日本は、海洋資源開発に国として優先的に取り組むべきであり、このアドバンテージを利用しない手はないだろう。

特にレアメタルは、私たちの生活を豊かにする通信、自動車、医療、太陽電池などの最先端技術に欠かせない元素である。レアアースは鉄などと混合すれば磁力や耐熱性を強めることができ、ハイブリッド車やハイテク製品の生産に不可欠で、今後も需要は一層高まると見られている。レアメタルを含めた金属資源の消費は、日本だけでなく、中国などの目覚ましい発展をしている国に集中している。それで、中国は自国で生産されるレアメタル資源の輸出を停止した。

沖縄近海で行われた、採掘調査で、海底下で半径10Kmの大きな熱水の滞留が発見された。その熱水の表面には金・銀・レアメタルを多く含む黒鉱鉱床が存在している可能性が高いということだった。このあたりは尖閣諸島とは異なり、我が国の排他的経済水域内なので、仮に採掘が可能になれば資源問題はかなり解決することになる。

また、日本の最東端に位置する南鳥島が資源大国への夢に希望を与えている。東京から約2千km離れた南鳥島は太平洋に浮かぶ火山島で、南鳥島近海の鉱床でハイテク産業に欠かせないレアアースやマンガン、コバルト、ニッケル、プラチナ、ネオジウムといった鉱物の埋蔵が確認された。鉱床の調査と開発計画が順調にいけば、日本が中国へのレアアース依存から脱却する日も近いかもしれない。

fraser_Jul2012

Feb 24

第2話
永遠の資産、金の話 その1
13世紀、マルコポーロは、東方見聞録で「黄金の国、ジパングは、東の海上に浮かぶ島国で莫大な金を産出し、宮殿や家は黄金でできている。」と記した。後にその富を求めて、コロンブスも大航海に出たといわれる。金はエジプト、メソポタミアの古代財宝以来、数千年の昔から人々を魅了し続けてきた。
金の歴史は、世界支配の歴史でもある。金を持つ者が世界を支配し、19世紀までは金が世界支配者の象徴であった。
第二次大戦後、ブレトン・ウッズ体制が創設され、新たな金本位制が始まった。
金の価値を1トロイオンス(31.1g)35ドルに固定し、それに対し各国通貨の交換比率を定めた。この固定相場制のもとで、日本円は1ドル=360円に固定された。この体制下で西側諸国は、史上類を見ない高度成長を実現。特に、日本のバブルは「東洋の奇跡」といわれるほど驚異的だった。世界の経済、貿易、財政の規模が著しく増大した結果、金の供給量が経済規模の増大に見合わなくなり金本位制は行き詰まった。1971年にニクソン・ショックにより米はドルと金の交換を停止した。今では金本位体制は机上の空論といわれている。更に1973年には変動相場制に移行、ブレトン・ウッズ体制は完全に終結した。
1973年時点で、金は1トロイオンス97.2ドルだった。1グラムに換算すると約1000円。現在は、1グラム4000円以上。円の価値では4倍以上。1トロイオンスでは、1800ドルを超え、ドルベースでは20倍になった。
金価格は1980年の旧ソビエト軍のアフガニスタン侵攻時に一挙に、過去最高値875ドルをつけたが、その後、急落、米ドル一辺倒の時代が2000年初頭まで続く。
1990年代、米の音頭で、日欧の中央銀行に利子や配当を生まない金を売却し、高金利で価値も安定していた米国債や米ドルに乗り換える動きが広がった。欧州の中央銀行が金を大量に売却し、ドル・ユーロへシフトした結果、金価格は250ドルまで急落。その中で頑固、手放さなかったのは、独と仏だった。当の米国は他国に金売りを指示しながら、絶対に自国の金を手放さなかった。日本も含め、多くの中央銀行は平均300ドル程度で大量の金を放出した。今になって、金を高値、1500ドル以上で買い戻すはめになった。英中銀が1999年「金を415トン売却する」と発表し市場に動揺が広がった。英国は金本位制で世界の金融市場を支えた大英帝国時代の歴史があるだけに、その英国にまで「金離れ」が波及したとの見方が広がった。その後、「けた外れの安値で売った」として英政府は厳しく批判された。その頃、日本では店頭価格が1グラム1000円の大台を割ったこともあり、貴金属店の店頭は行列ができ個人投資家の金買いブームに火がついた。
その後ますます米のドル基軸制は確固たる地位を確立し、世界的経済成長とともにドルは金地金を凌駕した。米は紙切れを発行するだけの通貨発行権だけに甘んじることなく、金地金の保有高も現在も世界一の水準にある。
2001年9月の米同時テロの後から金価格の上昇が始まった。この頃から米の金融バブルに乗って商品価格は全面高になり、原油は2008年1月に史上初1バレル100ドルを付けた。とりわけ2005年以降の5年間だけで、1トロイオンス400ドルから1200ドルへ3倍に上昇した。
2008年9月に米のリーマンショックで、株式、商品相場が暴落したが、その後、金は通貨量の増大と連動し急上昇を続けたのは周知のとおりだ。
ニューヨークの金相場は2011年9月6日に1トロイオンス=1920ドル台の過去最高値を更新。現在も過去最高水準の1600ドル台で推移。金価格急騰は、ここ数年の世界的な金融危機と国家財政危機、基軸通貨ドルをはじめとするペーパーマネーの信用急落を受け、現物資産、金に急速に資金が流れているためだ。
1オンス1500ドルでも歴史的高値圏なのだが、今や、1500ドルがレンジの下限になってしまった。
海外の金需要が旺盛な理由について実質金利が大きく影響している。世界最大の金生産国であり輸入大国でもある中国の場合、インフレ分を差し引いた実質金利はマイナス状態。銀行に預金しておくだけでは資産は目減りしてしまうため、資金はより高い投資リターンを求めて金に向かう。
金が11年も続けて上昇し続けるのは、金が商品で唯一、通貨の性格を持つ影響が大きい。
現在の世界の国別公的部門の金保有量は米が断然トップ。
1.米 約9千トン、2.独3.8 千トン3.IMF 3.1千トン 4.伊2.7 千トン5.仏2.7千トン 6.中国1.2 千トン7.スイス1.2千トン 8.ロシア900トン9.日本850トン   16.英国310トン
独や伊など欧州諸国が金を大量に保有している。財政危機にあるはずの伊が、意外にも多くの金を保有にはびっくり。日本は最近ロシアに抜かれた。英と日本は案外、少ない。もう少し多くてもいいのではないかと思うが、日本は、かつて「黄金の国」といわれたぐらい、昔は金が大量に出たにもかかわらず、今はかなり、さみしい数字だ。
第2話
永遠の資産、金の話 その2
世界の金の保有量は16万トンと言われている。量にするとオリンピックプール3杯分程度となり、金額に換算すると、約640兆円(1g=4,000円換算)となる。
日本国の借金1000兆円であるから、世界にはそれよりも少ない金資源しか存在していないことになる。
16万トンの内訳は、宝飾品:8万4千t、民間投資用:3万t、公的保有:2万9千t、となっており、宝飾品が全体の約半分を占めている。
金の埋蔵量は残り7万6千tと言われており、現在のペースで掘れば、約25年で掘りつくされる計算だ。
国家・中央銀行などの準備金、公的保有量は、約2万9千t。特にアメリカの保有量は9千tと全体の30%を占め、群を抜いている。
今、欧州債務危機に抜本的な解決が見いだせない状況の中で、今後の金価格はどうなるのだろうか?
米ドルの世界覇権の対抗馬として欧州勢が団結、ドルに替わるべくユーロは、1999年華々しいデビューを飾った。産油国もユーロでの決済を要求するほど一時は強勢を誇ったが、10年経った今、ユーロは存亡の危機に瀕している。ずっと戦争を繰り返していた国々が仲良く、同じ通貨を使うことで領域内経済力も活性化されたが、経済格差のある国まで次々入りだし、身分不相応の共通通貨を持つにいたりほころびが出だした。結局、ユーロはユートピアだったのか。
欧州債務危機でユーロは売られるばかり。円は今は買われているが、長期的には災害と高齢化、国家財政破綻で暴落するかもしれない。スイスフランは高くなりすぎ、ユーロにペッグしてしまった。世界には安心して買える通貨がなくなった。余りにも巨額なお札が乱発されたため、紙幣の価値が下がり、リスクヘッジとして金が買われている。
ドルの信用度は高いとはいえないが、ユーロからドルへの資金移動が顕著だ。欧州から資金が米ドル、米国債に向かい、金、銀の現物資産にシフトする。金は唯一の将来のインフレヘッジとみなされ今後も上昇が予想される。
金本位制がくずれて40年、経済が行きづまればお金を印刷、すなわち、財政赤字が増大する。お札が垂れ流された結果、より高いリターンを求めて世界中をかけめぐり、あちこちでブーム/バストを引き起こす。行き場のないお金が金、銀に向かうという構図だ。
米国は唯一の世界の基軸通貨としてドルの増刷を続ける。ドルにかわる通貨がないので、ドルの地位は揺るぎない。ユーロにはそれを支える強大な国家権力がない。金5千年の歴史、米にはドル200年の歴史と世界一の軍事力がある。その上、旧共産圏、中東もドル体制に組み込まれた。これも米が冷戦に勝利した産物といえるのか。米は財政、貿易の赤字を垂れ流したが、その結果としてドルが世界に流出し、新興国、特に中国の経済成長を助けた。
欧州の不透明感が続く限り、ドルやユーロが売られ、破綻懸念とは無縁な金に資金が流れ込む動きが続くだろう。今後、更に上値を追い、2200ドルを付ける可能性もあると予想される。
最大の金消費国である中国やインドは高インフレに悩まされており、資金が金に流れやすい状況が続く。新興国が外貨準備として年間500トン前後の金を購入しており、これが金価格の長期上昇トレンドを支える要因だ。
去年8月、中国が2.8兆円規模の米国債を売り越した。米ドルを売って何を買うのか。今まではユーロにシフトしていたが、欧州危機で円と金への分散運用を強めている。外貨準備としての金保有量は、2000年には400トンであったが現在は1200トンと3倍に増加。インド、中国の2カ国で年間金生産量2800トンの6割の買い占めだ。
金は短期的には乱高下を繰り返すが、長期的には右肩上がりのトレンドが続くと見られる。高値になると欧米の投資家が売りを出し、アジアの実需が押し目で買いを入れるというパターンだ。
数年後には日本の債務危機が世界の金価格を左右する時代が来るかもしれない。円の暴落には金保有は有効なリスクヘッジだと考えられる。
金は世界中どこでも売れ、ドルなどの通貨に替えられる。「世界に通用するおカネ」として普遍的な価値を持っており、株式、債券は“紙くず同然”になる得るリスクがあるが、金の価値がゼロになることはない。逆に永遠の輝きが増す安全資産というのが最大の魅力だ。
金投資のポイントは短期的には金のETF購入、長期的には金現物保有か金、資源物の投資信託での資産運用がお勧めといえる。

第2話 永遠の資産、金の話 その1 (2012年2月号)

13世紀、マルコポーロは、東方見聞録で「黄金の国、ジパングは、東の海上に浮かぶ島国で莫大な金を産出し、宮殿や家は黄金でできている。」と記した。後にその富を求めて、コロンブスも大航海に出たといわれる。金はエジプト、メソポタミアの古代財宝以来、数千年の昔から人々を魅了し続けてきた。

金の歴史は、世界支配の歴史でもある。金を持つ者が世界を支配し、19世紀までは金が世界支配者の象徴であった。

第二次大戦後、ブレトン・ウッズ体制が創設され、新たな金本位制が始まった。

金の価値を1トロイオンス(31.1g)35ドルに固定し、それに対し各国通貨の交換比率を定めた。この固定相場制のもとで、日本円は1ドル=360円に固定された。この体制下で西側諸国は、史上類を見ない高度成長を実現。特に、日本のバブルは「東洋の奇跡」といわれるほど驚異的だった。世界の経済、貿易、財政の規模が著しく増大した結果、金の供給量が経済規模の増大に見合わなくなり金本位制は行き詰まった。1971年にニクソン・ショックにより米はドルと金の交換を停止した。今では金本位体制は机上の空論といわれている。更に1973年には変動相場制に移行、ブレトン・ウッズ体制は完全に終結した。

1973年時点で、金は1トロイオンス97.2ドルだった。1グラムに換算すると約1000円。現在は、1グラム4000円以上。円の価値では4倍以上。1トロイオンスでは、1800ドルを超え、ドルベースでは20倍になった。

金価格は1980年の旧ソビエト軍のアフガニスタン侵攻時に一挙に、過去最高値875ドルをつけたが、その後、急落、米ドル一辺倒の時代が2000年台初頭まで続く。

1990年代、米の音頭で、日欧の中央銀行に利子や配当を生まない金を売却し、高金利で価値も安定していた米国債や米ドルに乗り換える動きが広がった。欧州の中央銀行が金を大量に売却し、ドル・ユーロへシフトした結果、金価格は250ドルまで急落。英国はかって、金本位制で世界の金融市場を支えた大英帝国時代の歴史があるだけに、その英国にまで「金離れ」が波及したとの見方が広がった。その中で頑固、金を手放さなかったのは、独と仏だった。当の米国は他国に金売りを指示しながら、絶対に自国の金を手放さなかった。日本も含め、多くの中央銀行は平均300ドル程度で大量の金を放出した。今になって、金を高値、1500ドル以上で買い戻すはめになった。英中銀は1999年- 2002年にかけて、英国の金保有量の半分以上の 395トンを20年来の最安値平均$275で売却した。その後、金価格は底値での売り値の7倍にまで上昇した。この英の大量金売りは英大蔵大臣ブラウンの最大の誤算といわれ、納税者に$19Bもの損をさせたとされ、大変な物議をかもした。その頃、日本では店頭価格が1グラム1000円の大台を割ったこともあり、貴金属店の店頭は行列ができ個人投資家の金買いブームに火がついた。

その後ますます米のドル基軸制は確固たる地位を確立し、世界的経済成長とともにドルは金地金を凌駕した。米は紙切れを発行するだけの通貨発行権だけに甘んじることなく、金地金の保有高も現在も世界一の水準にある。

2001年9月の米同時テロの後から金価格の上昇が始まった。この頃から米の金融バブルに乗って商品価格は全面高になり、原油は2008年1月に史上初1バレル100ドルを付けた。とりわけ2005年以降の5年間だけで、1トロイオンス400ドルから1200ドルへ3倍に上昇した。

2008年9月に米のリーマンショックで、株式、商品相場が暴落したが、その後、金は通貨量の増大と連動し急上昇を続けたのは周知のとおりだ。

ニューヨークの金相場は2011年9月6日に1トロイオンス=1920ドル台の過去最高値を更新。現在も過去最高水準の1600ドル台で推移。金価格急騰は、ここ数年の世界的な金融危機と国家財政危機、基軸通貨ドルをはじめとするペーパーマネーの信用急落を受け、現物資産、金に急速に資金が流れているためだ。

1オンス1500ドルでも歴史的高値圏なのだが、今や、1500ドルがレンジの下限になってしまった。

海外の金需要が旺盛な理由について実質金利が大きく影響している。世界最大の金生産国であり輸入大国でもある中国の場合、インフレ分を差し引いた実質金利はマイナス状態。銀行に預金しておくだけでは資産は目減りしてしまうため、資金はより高い投資リターンを求めて金に向かう。

金が11年も続けて上昇し続けるのは、金が商品で唯一、通貨の性格を持つ影響が大きい。

現在の世界の国別公的部門の金保有量は米が断然トップ。

1.米 約9千トン、2.独3.8 千トン3.IMF 3.1千トン 4.伊2.7 千トン5.仏2.7千トン 6.中国1.2 千トン7.スイス1.2千トン 8.ロシア900トン9.日本850トン   16.英国310トン

独や伊など欧州諸国が金を大量に保有している。財政危機にあるはずの伊が、意外にも多くの金を保有するのにはびっくり。日本は最近ロシアに抜かれた。英と日本は案外、少ない。もう少し多くてもいいのではないかと思うが、日本は、かつて「黄金の国」といわれたにしては、今はかなり、さみしい数字だ。

第2話

永遠の資産、金の話 その2

世界の金の保有量は16万トンと言われている。量にするとオリンピックプール3杯分程度となり、金額に換算すると、約640兆円(1g=4,000円換算)となる。

日本国の借金1000兆円であるから、世界にはそれよりも少ない金資源しか存在していないことになる。

16万トンの内訳は、宝飾品:8万4千t、民間投資用:3万t、公的保有:2万9千t、となっており、宝飾品が全体の約半分を占めている。

金の埋蔵量は残り7万6千tと言われており、現在のペースで掘れば、約25年で掘りつくされる計算だ。

国家・中央銀行などの準備金、公的保有量は、約2万9千t。特にアメリカの保有量は9千tと全体の30%を占め、群を抜いている。

今、欧州債務危機に抜本的な解決が見いだせない状況の中で、今後の金価格はどうなるのだろうか?

米ドルの世界覇権の対抗馬として欧州勢が団結、ドルに替わるべくユーロは、1999年華々しいデビューを飾った。産油国もユーロでの決済を要求するほど一時は強勢を誇ったが、10年経った今、ユーロは存亡の危機に瀕している。ずっと戦争を繰り返していた国々が仲良く、同じ通貨を使うことで領域内経済力も活性化されたが、経済格差のある国まで次々入りだし、身分不相応の共通通貨を持つにいたりほころびが出だした。結局、ユーロはユートピアだったのか。

欧州債務危機でユーロは売られるばかり。円は今は買われているが、長期的には災害と高齢化、国家財政破綻で暴落するかもしれない。スイスフランは高くなりすぎ、ユーロにペッグしてしまった。世界には安心して買える通貨がなくなった。余りにも巨額なお札が乱発されたため、紙幣の価値が下がり、リスクヘッジとして金が買われている。

ドルの信用度は高いとはいえないが、ユーロからドルへの資金移動が顕著だ。欧州から資金が米ドル、米国債に向かい、金、銀の現物資産にシフトする。金は唯一の将来のインフレヘッジとみなされ今後も上昇が予想される。

金本位制がくずれて40年、経済が行きづまればお金を印刷、すなわち、財政赤字が増大する。お札が垂れ流された結果、より高いリターンを求めて世界中をかけめぐり、あちこちでブーム/バストを引き起こす。行き場のないお金が金、銀に向かうという構図だ。

米国は唯一の世界の基軸通貨としてドルの増刷を続ける。ドルにかわる通貨がないので、ドルの地位は揺るぎない。ユーロにはそれを支える強大な国家権力がない。金5千年の歴史、米にはドル200年の歴史と世界一の軍事力がある。その上、旧共産圏、中東もドル体制に組み込まれた。これも米が冷戦に勝利した産物といえるのか。米は財政、貿易の赤字を垂れ流したが、その結果としてドルが世界に流出し、新興国、特に中国の経済成長を助けた。

欧州の不透明感が続く限り、ドルやユーロが売られ、破綻懸念とは無縁な金に資金が流れ込む動きが続くだろう。今後、更に上値を追い、2200ドルを付ける可能性もあると予想される。

最大の金消費国である中国やインドは高インフレに悩まされており、資金が金に流れやすい状況が続く。新興国が外貨準備として年間500トン前後の金を購入しており、これが金価格の長期上昇トレンドを支える要因だ。

去年8月、中国が2.8兆円規模の米国債を売り越した。米ドルを売って何を買うのか。今まではユーロにシフトしていたが、欧州危機で円と金への分散運用を強めている。外貨準備としての金保有量は、2000年には400トンであったが現在は1200トンと3倍に増加。インド、中国の2カ国で年間金生産量2800トンの6割の買い占めだ。

金は短期的には乱高下を繰り返すが、長期的には右肩上がりのトレンドが続くと見られる。高値になると欧米の投資家が売りを出し、アジアの実需が押し目で買いを入れるというパターンだ。

数年後には日本の債務危機が世界の金価格を左右する時代が来るかもしれない。円の暴落には金保有は有効なリスクヘッジだと考えられる。

金は世界中どこでも売れ、ドルなどの通貨に替えられる。「世界に通用するおカネ」として普遍的な価値を持っており、株式、債券は“紙くず同然”になる得るリスクがあるが、金の価値がゼロになることはない。逆に永遠の輝きが増す安全資産というのが最大の魅力だ。

金投資のポイントは短期的には金のETF購入、長期的には金現物保有か金、資源物の投資信託での資産運用がお勧めといえる。

fraser_feb2012

Jan 13

経済あれこれ  第一話 (2012年1月号)

日本人の資産フライトが加速している!

1980年初頭から、レベレッジの時代といわれ、お金を借りて物を買い出し、個人、企業、国の借金が膨らんでいる。個人は車、家をローンで、電化製品、食料、レストランの支払いは、クレジットカードで簡単にすませる時代だ。会社は社債、国は国債を発行して簡単に資金を調達できる。こうして30年間に個人、企業、国が積み上げた借金は膨大な金額に上る。個人、企業の借金を減らすには2つの方法がある。1つは借金を返済する。払えなければ、デフォルト(債務不履行)して借金を帳消しにする。ただ、国の借金減らしは、そう簡単にはいかない。増税し、緊縮財政で支出をカットすれば、政治家はすぐに職をなくすのでなかなか手をつけれない。それで、日本は世界一の借金国家になってしまった。日本の公的債務は1,000兆円に上り、GDP(国内総生産)の200%に達し、米国の160%をはるかに超える。米国債の65% は海外投資家が買っているが、日本国債は95%を日本の金融機関が買っている。米国債10年物の利回りが2%、インフレ率が3%なので、実質1%の損となる。しかし、日本人は利回り1%の国債を買って満足しているのは、20年にわたり2%のデフレで、実質3%の利益という計算からだ。この低金利が国債の利払い負担を低位安定させる効果をももたらした。

しかしながら、ここにきて、日本の少子、高齢化が進み、貯蓄を取り崩して生活する人の比率が一気に増え貯蓄率が低下すると、近い将来、国内での国債購入余力の減少を招き、国債を買い支えられなくなることが問題になっている。それに加え、大震災、原発事故で巨額の復興コスト、景気後退、輸出の減少という”想定外“の不安要因がにわかに浮上してきた。数十兆円にも上る復興コストを確保するには、国債の大量追加発行は不可避のため、日本国債の先行きに新たな不安要因となっている。

つまり、震災ショックから、くすぶり続ける”日本国債暴落説“が勢いづいてきたのだ。日本にもデフォルトの可能性がでてき、欧州の問題は他人事ではなくなり、日本の財政破綻のリスクが高まっている。そうなれば、株式、国債、円相場のトリプル安シナリオにもなりかねない。83人に 1人は億万長者の日本だが、何億の資産をもっていようと、日本の円は紙くず同然になり得る。

“自国通貨への信頼を失った人たちが、より安全な場所を求めて、超円高の今、資産を海外に移している。”ことをご存知でしょうか? 以前は、超富裕層に限られたことだったが、最近は一般の個人投資家にまで広がっている。リスクヘッジとして、個人レベルでも、虎の子の資産を海外に移すことが始まっている。

今まで、日本の個人投資家は、バブル崩壊の後遺症からか、日本のゼロ金利、20年を越す長期の景気後退にもかかわらず、海外投資へは消極的で内向き志向だった。その間、特にカナダの不動産、株式市場は右肩上がりで上昇した。しかし、世界で唯一、下がりっぱなしの市場にしがみついていた日本の個人投資家たちは、世界的上昇の波に乗り遅れた。

円だけで、資産をもっていると、将来、国家財政が破綻した場合、自分の資産価値も暴落する。また、今回の大地震、原発事故で、政府に対する不信感も高まり、“自分の資産は自分で守らなければ”という意識に目覚めた人たちは、超円高の今のうちに海外に資産を移している。 日本の将来に益々、不安をいだいている人たちが急増し、一般的な個人の海外への資産フライトに拍車をかけている。

将来、日本国債、米国債は紙くず同然となり得るリスクが高い。特に、米国債を膨大に抱える中国は今、世界の金、石油、ガス, 石炭、銅の鉱山、天然資源、不動産、鉄道、道路等の実態のある資産(Real Asset)にシフトさせている。

今まで、日本の中にこもっていた日本人もようやく、この大震災を契機に、危機意識に目覚め、従来、欧米、中国人がやっていたリスク分散投資としての海外への資産投資、不動産投資、さらには、海外に住むことまでをも視野にいれだしたということか。

そんな中、カナダにも日本からの資金流入が続いている。カナダは、石油、天然資源の宝庫、また政治的、経済的にも安定した国で安全な投資先とみなされているからだ。

最近の欧州債務危機のため、投資資金が欧州からも引き上げられて、北米に流入している。第一次、第二次世界大戦時、大量の資金が欧州から米国に流れた再来だ。しかも、従来通り、中国からもカナダに資金流入が続いており、カナダ経済は世界中からの資金流入により、これからも非常に堅調に推移するとみられる。
略歴

東京外国語大学卒業後、英国ロンドンの大和證券で日本株アナリスト、第一勧業銀行(現みずほ銀行)で日本国債トレイダー。その後、カナダRBCで5年間、投資、保険を担当。現在は、Canada Financial Groupにて、投資、資産運用、保険のスペシャリスト。金融部門30年のベテラン。ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。日本からのお問い合わせも承ります。

Financial Advisor

小林ヒロコ
Canada Financial Group
2200-1177 W. Hastings St, Vancouver, BC, V6E 2K3
Tel: 604-727-2320
moxeyh@shaw.ca
www.canadaeinvest.com

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Jun 2

あなたの退職資金は十分確保されていますか?

**レベレッジ投資**

今日の低金利局面では、債券、マネーマーケット、GIC等で投資していたのでは、リターンがインフレ率をも上回らないという場合がほとんどで、老後に必要な十分な資金を確保できないという“リスク”が発生します。また、その上、それらの利子には所得税と同じ税率が適用されるので、他の配当金、売買益に比べ、税金も多く払うことになります。従って、十分な資金を確保するためには投資のオプションの幅を広げ、株式の比率を高めたり、幅広く分散されたポートフォリオを組み、多少の“リスク”はとっても成長性のあるものに投資することが将来、必要なキャッシュフロー確保に非常に重要になってきています。

ベビーブーマーがそろそろ退職する年齢にさしかかり、老後資金の確保はより深刻な問題になってきています。寿命が伸び、退職後の期間も長期化(20年~35年)してきているのに対し、先進国では老齢化、少子化が進み、公的年金だけでは十分ではなく、私たちは長期間の老後資金を自分たちの責任で確保しなければなりません。

退職後は退職前5年間の平均収入の70%は必要だといわれています。しかし、毎日の生活費、モーゲッジ、色々な支払いに追われ、退職後の十分な資金確保も容易ではありません。ところが、それを奨励するため、金融機関はいくつかの税制優遇年金プランを開発しており、今回はそのうち、今、話題になっているレベレッジ投資(借りた資金で投資)についてご説明いたします。

レベレッジ投資とは?

簡単にいえば、“借りた資金で投資”する、即ち、他の人のお金で自分の投資目標を達成することです。ご存知かどうかわかりませんが、大抵の方はもう既にこの手法を使っています。例えば、モーゲッジ、スチューデントローン、RRSPローンをやられている方は、家を所有する、高い教育を受ける、快適な老後資金を確保するために、他の人のお金を借りてゴールを達成しようとしています。これと同様にレベレッジ投資も他の人のお金を借りてきて、より大きな富の蓄積を目指しています。モーゲッジを借りることによって、家を所有したいという目標がかなえられるのはレベレッジ投資の一番わかりやすい例です。

従来の投資は、まず、お金を稼いで、その一部を貯金して、それを投資に回していました。これでは時間もかかりますし、期待したほど、貯まらないということをご存知でしょうか?

レベレッジ投資の手法を使えば、お金を早く増やすことができます。小額の積み立てを長期間するよりは、まとまった金額を借りてそれを一遍に投資することにより、資産をより大きく増やすことができます。その場合、毎月の積み立ての代わりに、ローンの利子を払うことになります。

レベレッジ投資はどのように機能するか?

従来の投資は、毎月の収入の一部をはねのけて、それを投資にまわし、それが長い年月の間に成長するというものでした。

しかし、レベレッジ投資はローンをして、まとまった大きな金額を一遍に投資に回します。毎月の収入の一部にあたるものはローンの利子への支払いに当てられます。その毎月の出ていく金額は同じでも、レベレッジ投資の手法で投資したほうが、はるかに大きなリターンを産みだす可能性があります。それは以下の2つの威力あるパワーによって可能となります。

複利で運用

複利運用の効果はレベレッジで大きな金額を一遍に投資することによって更に威力を発揮する。大きな金額を一遍に長期間運用することによって複利運用効果が生かされ、より大きなリターンを産み出す。レベレッジ投資によって大きな資金を第一日目よりその金額全部が運用され、それが毎年、複利で運用されることにより、長期間でより高い運用成果が期待できる。

税金が控除

投資目的のローンの利子は100%、税金控除されることにより、投資コストを下げることができる。

アンとビルの例

アンはある金融機関のBorrow to investのプログラムで$100,000借りて、それを投資しました。毎月のローンの支払いが、約$500(税控除後$340)で、10 年後、$245,932 になりました。(ローンの$100,000を差し引くと$145,932

*税控除額分も再投資する。10年後、ローンは返済しても、しなくてもいいです。

一方、ビルはこつこつと毎月$500 貯めていきました。10年後  $91,721になりました。  (両方とも10年間で 8%のリターンで計算)

アン(10年後) ビル(10年後)
$145,932 $91,721

従って、ビルの場合、税控除(Tax savings)の恩恵をも得られず、小額を貯めていくので、複利効果も少ないですが、アンの場合は第一日目から大きな金額を投資することによる、複利運用効果と税控除の威力が発揮され、同じコストでより大きく増やすことができるわけです。レベレッジ投資の手法は従来の伝統的な投資手法より、すぐれた投資効果を産むと言えるでしょう。

ファイナンシャルゴール達成に向けて、投資プランに必要な資金をすぐに見つけるのは容易なことではありませんが、必要な資金全額を貸してくれる金融機関も増えています。

このレベレッジ投資は投資の成長性を加速するのにパワフルな手段といえますが、ダウンサイドリスクがないとはいえないため、この投資にあったては専門の投資アドバイザーにご相談することをおすすめします。

上記に関して何でもお気軽にお問い合わせください。

ファイナンシャルアドバイザー

小林ヒロコ

Tel: 604-727-2320

moxeyh@shaw.ca

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