Dec 17

今はまだ、超低金利ですが、来年ぐらいから、金利が少しづつ上がり出しそうです。日本は長期のデフレから、やっと脱却し、2%のインフレを目指しています。カナダは現在インフレ3%ぐらいです。 1976年にコーヒー一杯$0.25でしたが、今は$2です。10年前、ガソリン1L $0.75 でしたが、今、 $1.40です。インフレで今の資産価値がリタイア時には大幅に目減りします。40歳の人が、年に必要な生活費が今、$36,000いるとすると、インフレ調整後、65歳の時、$58,179必要です。従って、インフレ率を上回る運用益を上げるには定期預金の低金利物で運用していたのでは目標額は達成できません。若い世代ほど、成長性の高い株式の比率を高めた投資で積極的に運用したほうがいいです。
リタイアが視野に入った50代以降の世代は投資で損したら、取り戻す時間もないため、リスクの低い商品、元本保証型年金プランがお勧めです。
そして、個人年金型投資には銀行で資金を借りて、投資を始める、Investment Loanが人気です。これで、快適な老後資金を確保するために、モーゲッジのようにお金を銀行から低利で借りて、老後資金の投資目標金額を早く達成することができます。毎月、小額を積立貯金すると時間もかかり、あまり貯まりませんが、まとまった金額をばーんと一度に投資すると、大きな金額で投資が開始でき、複利運用効果で早くゴールが達成できます。また、ローンの利子が100%、税金控除できるメリットもあります。

さて、日本では老後資金はざっと1億円といわれていますが、これは公的年金、企業年金と退職金でだいたいまかなえます。カナダは退職金はなし、企業年金のある会社はほとんどなく、公的年金も日本よりはるかに少ないです。それで、カナダ政府も、上のInvestment Loanの利子も税金控除にし、自己責任での年金資金運用を奨励しています。
また、RRSPももちろん、税控除されます。ただ、RRSPは上限があるので、高額所得の方は税控除枠が限られているので、Investment Loanをして、更に税金控除している方も多いです。
世界で一番、年金制度がいいのが、日本です。私たちの親の世代は年金で優雅な生活をしている人が多いです。しかし、その日本の年金制度も破綻しかかっています。
カナダに住んでいらして、日本から年金をもらっていらっしゃる方もいるかと思います。日本は年金支給が65歳で、近い将来68歳に引き上げられるといわれています。
今、年金をもらっている人はかなり良いのですが、50歳以下の世代は年金がどうなるかわからないので、まったく頼れないというのが実情です。カナダも含め、先進国はどこも少子高齢化で年金基金が不足してきています。ですから、お金のある人や、ずっと働け稼ぐ能力のある人は生き残れるが、そうでない人たちはお先真っ暗です。
日本で、受給開始年齢が65歳に引き上げられた矢先に、68歳、70歳へのさらなる引き上げ案がでています。そうなれば、年金を納めたが、まったくもらうことなく、亡くなる人もでてきます。
日本では年金基金の積立金は年に約6兆円のペースで取り崩されています。
この調子でいけば、2033年に厚生年金の積立金が、2037年に国民年金の積立金が枯渇すると試算されています。
1940年代生まれの世代は払った保険料よりも受給した年金額が3千万円ぐらい多く、1955年から1960年生まれの世代はプラスマイナスゼロとなり、それ以後に生まれた人たちはもらう金額が下がっていきます。今生まれている子供たちは保険料を払うだけで、ほとんど受け取れない“納め損”になるという計算になります。よく言われる、”逆ピラミッド“で少数の現役世代が、多数の老後世代を支えなければならないので、現役世代の年金不信感が広がっています。払っても将来もらえないとなれば、年金を払わない若者が46%もいます。日本では、正社員になかなかなれず、フリーター、ニートで、年金保険料が払えない若者も多いのが実情です。
現状はなかなか、厳しいです。
ただ、いえるのは、これからは公的年金はあてにできないので、老後にいくら必要かを計算し、それに向け個人年金資金を早くから自己責任で準備した方がいいということです。そして、お金の心配をすることなくバラ色な老後をゆったり過ごしたいものですね。

追加として、カナダの株価の動きと家の価格の移り変わりの資料も入れました。
バンクーバーの不動産価格は過去10年間急上昇し、不動産で利益を上げられた方も多いです。下の表が示すようにバンクーバーの一戸建て住宅は1977年から 2011年までに 14倍になりました。それに比べ、同期比、カナダの株価、トロント株式TXS Index は 35倍に増えています。実際には、カナダの株投資での運用の方が、不動産投資での運用より、利回りが大きく、歴史的に株式での投資が一番、運用益が高いことを示しています。

(月刊ふれいざー2013年11月号掲載)

Dec 9

日本のバブルよ、もう一度 その3 (2012年11月)

バブル、再来なるか?

日本のバブル崩壊から、20年余、“失われた20年”といわれ、日本経済への打撃ははかりしれなかった。こんなに長期の景気低迷に陥った先進国は日本だけで、バブルとバブル崩壊の格差があまりにも激しかったことから、経済学のテキストブックの格好の材料となった。
日本のバブル崩壊からの”失われた20年“の長期景気後退から這い上がれない様子をよく研究している中国は、日本を反面教師として、米がいくら切り上げを要求しても人民元をほとんど上げない。”プラザ合意”以降、米のいいなりになり、実態経済から乖離し、どんどん円高になり、長期に経済が衰退した日本の二の舞にされてなるものかと断固決意しているのだろう。
日本経済は20年余り、どの国も今まで経験したことのないような長期の景気低迷期に陥り、今に至っているが、なんと、最近少し、光明も見えてきた。
1985年のバブル経済への前夜と2012年の日本の経済状況は酷似しているといわれている。
2012年がバブル再来への夜明けの年となるかもしれない。
その理由は、今年に入って、日本株への外人の買い越しが続いていることだ。本格的な株高、不動産価格の上向き傾向は約20年ぶりだ。これらの資産効果は、日本に巨額の富をもたらし、景況観を抜本的に変える可能性がある。これは、バブル崩壊以来の歴史的な転換点を意味し、日本人の今までの景況感を変えるほどのインパクトがある。今後10年間ぐらい、上昇局面が続く前兆かもしれない。
背景にあるのは世界的な金融緩和だ。1月にFRB(米連邦準備制度理事会)が2014年までゼロ金利政策の継続を表明。各国が通貨供給量を増やしたことによるカネ余り現象で、最も割安に放置されてきた日本株に資金が流入している。
2008年のリーマンショック以降、各国が景気刺激策と称して、大量の紙幣を印刷しお金をばらまいた。市場のカネ余り現象を受け、日本企業を取り巻く環境は大きく変わってきた。
1985年は高度成長期を過ぎ、日本は不況、デフレ、低成長の時代に入ったと思われていた。更に1985年のプラザ合意で為替レートが1ドル=240円から、翌年、120円に急上昇、急激な円高になり、円高不況になった。実はその時から、バブル期への変動が静かに始まっていたのだ。その頃、バブル3銘柄と呼ばれる銀行、証券、不動産株がまず、上昇に転じた。そして、今年も年初から、この3つの銘柄が先行して上げてきた。
日本経済、“失われた20年”のデフレを脱却して、そろそろ、インフレへとトレンドが変わるかどうかが注目される。2014年ぐらいまで、低金利局面が続くが、その後、金利は徐々に上昇していき、通貨供給量も増え、割安な株式に資金が回帰し、景気は良くなると予測されている。
今のような超低金利では、みんな、財布のひもをしめ、お金が回っていかないので、デフレがちっともよくならず、悪循環が続く。しかし、インフレ傾向となり、金利上昇で、利子も増えれば、心理的にもお金を使い出すだろう。
将来、世界的に石油も枯渇していき、世界的な人口増で、食料、水も足りなくなり、それらの価格が急上昇し、資源、領土紛争も増すと予測される。世界は通貨供給量を増やし続け、いずれはハイパーインフーションになるだろう。
日本(1,000兆円)、米(1,400兆円)、共に膨大な借金を抱えている。ここまで、財政赤字が大きくなったら、こんな巨額の借金を返済することは不可能なので、財政破綻するか、紙幣を印刷してハイパーインフレにし、借金を踏み倒す胸算用だ。米ドルは世界の基軸通貨なので、お札を印刷すればいい。今年をバネに今後2-3年で、インフレ気味となり、景気は活気づいてくると見られる。今は日本の実態にそぐわない円高だが、いづれ、円安が進み、円、国債が暴落して、紙くず同然になる可能性さえあるといわれている。小子高齢化で人口は減るが、移民も受け入れない日本はこれからどうなるか。将来に備え、今から、米ドル、カナダドル、豪ドル、英ポンド、スイスフラン等の先進国通貨の資産に分散投資してリスクをヘッジするべきだと思われる。

Oct 17

最近、60代の男性が、“リタイア後は、CPP$200、OAS$300で毎月、全部で$500の年金が受け取れる。持ち家もなく、アパートを借りて住んでて、家賃が$700なので、CPPとOASだけでは、アパート代にもならない。どうやって生活していけばいいの?”と嘆いておられました。貯金もほとんどなく、リタイア後どうして生活しようかと思い悩んでいるとのことです。こういう方が結構多いです。60歳になってから、老後資金を貯めるには、時間がないので、たぶん、もっと何か他の仕事をしてでも、働き続けざるを得ないでしょう。知り合いの80歳を過ぎた女性もMcDonaldでお掃除の仕事をしていますし、70歳以上の方もSearsやBayで働いている姿をよく見かけます。もちろん、働くのが好きでやっている方もいるでしょうが、働かざるを得ないので、働いているケースがほとんどです。老後はゆったり、海外旅行や、趣味でバラ色の生活をしている方もあれば、生きていくため、死ぬまで働かざるを得ない人も非常に多いのが実情です。
カナダの公的年金はCPPとOASで40年働くと満額もらえます。満額はCPP(毎月約$1,000)、 OAS(毎月約$550) で合計$1,550です。移民で来た人たちは、CPPが毎月$50、$100、$200しかもらえないとか、OASが毎月$100、$200だとかよく聞きます。移民はカナダでの勤労年数が短いので、CPP, OASを満額もらっている人は少ないですが、たとえ、ここ生まれの人でも満額は、たった$1,500ぐらいなので、とてもゆとりある老後には程遠いです。
今日は一部の恵まれた人たちではなく、大多数の人たちの老後資金のお話をします。
私たちは、死のリスクより、今、長生きするリスクに直面しています。毎年、寿命が延び、日本人は世界で一番長生きします。最近のニュースで100歳以上が日本に5万4千人以上いるとのことで、これからももっと平均寿命が延びるとのことです。しかもDNA、iPSの治療で人類は将来150歳ぐらいまで生きるのが可能になるということです。そうした場合、長生きするのはいいが、お金が続かなくなるリスクが生じます。
それでは、いったい、定年後の生活にいくら必要なのでしょうか?
各個人の生活レベルによっても大きく異なります。贅沢をしないで、ただ、生きていくだけなら、夫婦二人で、$2,000 もあれば暮らせるかもしれません。でもゆとりをもって、海外旅行や、趣味で優雅にやりたければ$3,600ぐらいは必要でしょう。
夫婦65歳の必要な平均生活費を$3,000とします。だいたい、働いている時の収入の70%が目安です。この金額はリタイア前にモーゲッジ、その他ローンは払い終え、子供たちも自立していることを前提に算出しています。
共に85歳まで生きたとして、$3000 x 12ヶ月 x 20年 = $720,000 。もし、100歳まで生きれば、$3000 x 12ヶ月 x 35 年= $1,260,000 老後の生活費だけでこれだけ必要です。
これ以外に旅行、趣味、病気、介護費用、家リフォーム、子供への援助資金、その他の資金も必要ですので、ざっと$1millionぐらいは必要ということになります。
近年の財政縮小と少子高齢化で、公的年金は先進各国、支給開始年齢が引き上げられ、金額も2-3割減額されることが予測されます。既にアメリカ、ドイツ、カナダは67歳、イギリスは68歳への引き上げを決めています。
普通の勤め人にとって$1 millionを貯めるのは、ほぼ不可能なので、40歳から65歳までに$250,000の資産をつくることを目標にするなら、今後25年間で毎年、$10,000づつ貯める必要があります。年金のような長期的な運用は、保険会社が元本保証する個人年金プランのいいのを出しています。それは、生涯にわたり、年金収入を保証し、今のような、不安定なマーケットでも、元本保証があるので安心です。
ここに、いくつかのプラン例を作りました。
老後資金を40歳から65歳まで、25年間、初回投資額$25,000でその後、毎年、$10,000、 $5,000、$2,500を元本保証型個人年金プランで貯めていくと、それぞれ、65歳から、毎月、$2,011、 $1,172、$752  の 年金が一生もらえます。また、$100,000一括投資したら、25年後、毎月、$1,331が一生もらえます。貯めていってる間は、運用益プラス、3.5%のBonusも加算され、それが将来の年金原資になります。
それでは年金不足額をどのように貯めればいいか、元本保証の年金プランで安全に積み立て、上手に今から老後資金を作る必要があります。
30代、40代、50代は、毎日の生活費、モーゲッジ、子供の教育費、老後の資金作りのトリプルパンチに苦しんでいる家庭が多いです。やりくりに追われる中で、老後資金確保もたいへんですが、少しづつ準備していきたいところです。
(月刊ふれいざー2013年10月号掲載)

最近、60代の男性が、“リタイア後は、CPP$200、OAS$300で毎月、全部で$500の年金が受け取れる。持ち家もなく、アパートを借りて住んでて、家賃が$700なので、CPPとOASだけでは、アパート代にもならない。どうやって生活していけばいいの?”と嘆いておられました。貯金もほとんどなく、リタイア後どうして生活しようかと思い悩んでいるとのことです。こういう方が結構多いです。60歳になってから、老後資金を貯めるには、時間がないので、たぶん、もっと何か他の仕事をしてでも、働き続けざるを得ないでしょう。知り合いの80歳を過ぎた女性もMcDonaldでお掃除の仕事をしていますし、70歳以上の方もSearsやBayで働いている姿をよく見かけます。もちろん、働くのが好きでやっている方もいるでしょうが、働かざるを得ないので、働いているケースがほとんどです。老後はゆったり、海外旅行や、趣味でバラ色の生活をしている方もあれば、生きていくため、死ぬまで働かざるを得ない人も非常に多いのが実情です。

カナダの公的年金はCPPとOASで40年働くと満額もらえます。満額はCPP(毎月約$1,000)、 OAS(毎月約$550) で合計$1,550です。移民で来た人たちは、CPPが毎月$50、$100、$200しかもらえないとか、OASが毎月$100、$200だとかよく聞きます。移民はカナダでの勤労年数が短いので、CPP, OASを満額もらっている人は少ないですが、たとえ、ここ生まれの人でも満額は、たった$1,500ぐらいなので、とてもゆとりある老後には程遠いです。

今日は一部の恵まれた人たちではなく、大多数の人たちの老後資金のお話をします。

私たちは、死のリスクより、今、長生きするリスクに直面しています。毎年、寿命が延び、日本人は世界で一番長生きします。最近のニュースで100歳以上が日本に5万4千人以上いるとのことで、これからももっと平均寿命が延びるとのことです。しかもDNA、iPSの治療で人類は将来150歳ぐらいまで生きるのが可能になるということです。そうした場合、長生きするのはいいが、お金が続かなくなるリスクが生じます。

それでは、いったい、定年後の生活にいくら必要なのでしょうか?

各個人の生活レベルによっても大きく異なります。贅沢をしないで、ただ、生きていくだけなら、夫婦二人で、$2,000 もあれば暮らせるかもしれません。でもゆとりをもって、海外旅行や、趣味で優雅にやりたければ$3,600ぐらいは必要でしょう。

夫婦65歳の必要な平均生活費を$3,000とします。だいたい、働いている時の収入の70%が目安です。この金額はリタイア前にモーゲッジ、その他ローンは払い終え、子供たちも自立していることを前提に算出しています。

共に85歳まで生きたとして、$3000 x 12ヶ月 x 20年 = $720,000 。もし、100歳まで生きれば、$3000 x 12ヶ月 x 35 年= $1,260,000 老後の生活費だけでこれだけ必要です。

これ以外に旅行、趣味、病気、介護費用、家リフォーム、子供への援助資金、その他の資金も必要ですので、ざっと$1millionぐらいは必要ということになります。

近年の財政縮小と少子高齢化で、公的年金は先進各国、支給開始年齢が引き上げられ、金額も2-3割減額されることが予測されます。既にアメリカ、ドイツ、カナダは67歳、イギリスは68歳への引き上げを決めています。

普通の勤め人にとって$1 millionを貯めるのは、ほぼ不可能なので、40歳から65歳までに$250,000の資産をつくることを目標にするなら、今後25年間で毎年、$10,000づつ貯める必要があります。年金のような長期的な運用は、保険会社が元本保証する個人年金プランのいいのを出しています。それは、生涯にわたり、年金収入を保証し、今のような、不安定なマーケットでも、元本保証があるので安心です。

ここに、いくつかのプラン例を作りました。

老後資金を40歳から65歳まで、25年間、初回投資額$25,000でその後、毎年、$10,000、 $5,000、$2,500を元本保証型個人年金プランで貯めていくと、それぞれ、65歳から、毎月、$2,011、 $1,172、$752  の 年金が一生もらえます。また、$100,000一括投資したら、25年後、毎月、$1,331が一生もらえます。貯めていってる間は、運用益プラス、3.5%のBonusも加算され、それが将来の年金原資になります。

それでは年金不足額をどのように貯めればいいか、元本保証の年金プランで安全に積み立て、上手に今から老後資金を作る必要があります。

30代、40代、50代は、毎日の生活費、モーゲッジ、子供の教育費、老後の資金作りのトリプルパンチに苦しんでいる家庭が多いです。やりくりに追われる中で、老後資金確保もたいへんですが、少しづつ準備していきたいところです。

(月刊ふれいざー2013年10月号掲載)

Fraser-October2013

Aug 29

日本のバブルよ、もう一度
その1
なつかしいバブル
世界的に、欧州債務問題の影響で、景気が悪いせいか、最近よく、“日本のバブルの頃はよかった”という話を聞く。古き良き時代を哀愁をこめて語る年齢に、足を踏み入れようとしている人たちが多くなったせいかもしれない。バブルを知らない若者たちは、不景気の日本しか知らずに育ったことになる。あの時代をもう一度と切望する人が多くなった感がある。日本のバブルがはじけて20年以上、日本の景気後退の中で、若い世代は生まれ、育ち、バブルとは何ぞやと、知るよしもない。それを知らない若者たちは、ある意味でかわいそうなのか。年々、就職はきびしくなり、将来の年金もあてにならなくなった。今や、日本の若者の夢はどこでもいいから、正社員になることだという。
日本はまだ、正社員にさえなれば、雇用法のおかげで、簡単に首を切られない。カナダのように、雇用安定度ゼロ。いつ首を切られるか、びくびくしているということはまだ、日本にはないらしい。
バブル期、日本のバブルのおかげでお金が世界にばらまかれて、海外の日本人もその恩恵を受けて潤った。
歌手の千昌夫がハワイのホテルを買いまくった話は有名だ。「歌う不動産王、ホテル王」とはやされ、世界各地にホテルやビルなどを所有していた。一時はホノルルの殆どのホテルも持っていたといわれ、バブル崩壊とともに借金が膨れ上がり、負債総額、1,034億円。2000年、千昌夫の「アベインターナショナル」は経営破綻した。
ハワイでも、高級リゾートホテルと並び、開発のシンボルとされたのがゴルフ場で、日本人によるゴルフ場建設ラッシュとなった
ハワイ島の溶岩ばかりのところに、西武の堤氏がゴルフ場、ホテルを大開発し、何百億円もつぎ込んで、夢のようにすばらしいリゾートを建設したが、バブルがはじけた時、激安で米のホテルに売り払った。
1989年、三菱地所が2000億円で購入したニューヨークのロックフェラー・センターは当時の日本企業による国外不動産、買い漁りの象徴となった。
バブル崩壊後、日本企業はこれらの不動産のほとんどを、借金返済のために半値以下で手放した。
ソニーによるコロムビア映画買収をはじめ、潤沢な資金を得た企業が海外不動産、海外リゾートへの投資、海外企業の買収を行なった。土地を担保に大金を借り入れた中小企業オーナーや個人も、海外の不動産投資に邁進した。
そして、“ザ セイホ”の名で知られる、日本の生命保険会社各社が世界中の大都市のビル、不動産を買いまくって、脅威の存在と言われた。
こうした世界情勢の中で、政治的に安定している上に空前の好景気で、投資先として非常に大きな魅力を持つことになった日本は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の呼び声とともに、日本人1人あたりの所得が米を超えるにいたるや、米国においてさえ、”日本に学べ”という声が出るほど好景気に沸き立った。
一方で、象徴的ビルや企業が日本企業の手に渡ったことにつき、“日本脅威論”が噴出し、“日本たたき”が起こったのもこの頃だ。
格安航空券の売り上げ増大に合わせ、海外旅行者が増加したのもこの時期からである。1986年には550万人程度だった海外旅行者が、4年後の1990年には1000万人を突破した。日本からの団体旅行がカナダにも押し寄せ、ツアー会社も日本レストラン、おみやげ屋さんも笑いがとまらないくらい儲かったと聞く。
日本から、海上自衛隊が数隻で船団を組み、演習でバンクーバーに寄った際、ドルの札束を船にいっぱい積み込んでいたともいう。
ゴルフ場の会員権の価格は高騰し、その頃、数千万円もするのもあった。日本の会社の重役たちは週末、バンクーバーにゴルフをしによく飛んできたという。
英国ロンドンの日系証券会社のクリスマスパーティーは5スターホテルで盛大にやり、社員に、エルメス、ロイヤルドールトン、ウェッジウッドなどの豪華なクリスマスプレゼントを大判振舞いした。
バブルまっさかりの頃、金融、土地、資産運用でぼろ儲けしたことを吹聴し、本業そっちのけで「財テク」に腐心する企業もいっぱいでた。
潤沢な資金による買いあさりの対象は、NTT株公開に伴う一般投資家による投資や、ポルシェなどの高級車、絵画や骨董品にまで及び、企業や富裕層のみならず、普通の人まで高級ブランドを買いあさる一大消費ブームが起きた。
バブルとは、その名のとおり泡のように実体のないものを意味する。バブル経済とは、実体経済から大幅に乖離して、異常に資産価格が高騰した状態である。不動産や株式の資産価格が、投機によって異常に上昇し、その上昇が魅力となって、更なる投機を呼ぶという循環が起こる。活発な投資、消費が行なわれ、実体経済も活性化する。しかしながら、バブル経済は、活性化したといっても中身がないので、本来長く続くものではなく、1986年12月から1991年2月までの51ヶ月間しか続かなかった。
その後、バブルがはじけて、証券会社、銀行、保険会社、企業がどんどんつぶれ、個人も破産し、日本中が不良債権で膨れ上がった。その不良債権減らしを、国は国民の犠牲のもとに処理した。日本の銀行に預けてもゼロ金利、国民もそれによく耐えたものだ。銀行に預けても利子をくれず、銀行の利益を預金者に還元しないで、不良債権減らしにやっきになったのだから。

日本のバブルよ、もう一度 その1 (2012年9月号)

なつかしいバブル

世界的に、欧州債務問題の影響で、景気が悪いせいか、最近よく、“日本のバブルの頃はよかった”という話を聞く。古き良き時代を哀愁をこめて語る年齢に、足を踏み入れようとしている人たちが多くなったせいかもしれない。バブルを知らない若者たちは、不景気の日本しか知らずに育ったことになる。あの時代をもう一度と切望する人が多くなった感がある。日本のバブルがはじけて20年以上、日本の景気後退の中で、若い世代は生まれ、育ち、バブルとは何ぞやと、知るよしもない。それを知らない若者たちは、ある意味でかわいそうなのか。年々、就職はきびしくなり、将来の年金もあてにならなくなった。今や、日本の若者の夢はどこでもいいから、正社員になることだという。

日本はまだ、正社員にさえなれば、雇用法のおかげで、簡単に首を切られない。カナダのように、雇用安定度ゼロ。いつ首を切られるか、びくびくしているということはまだ、日本にはないらしい。

バブル期、日本のバブルのおかげでお金が世界にばらまかれて、海外の日本人もその恩恵を受けて潤った。

歌手の千昌夫がハワイのホテルを買いまくった話は有名だ。「歌う不動産王、ホテル王」とはやされ、世界各地にホテルやビルなどを所有していた。一時はホノルルの殆どのホテルも持っていたといわれ、バブル崩壊とともに借金が膨れ上がり、負債総額、1,034億円。2000年、千昌夫の「アベインターナショナル」は経営破綻した。

ハワイでも、高級リゾートホテルと並び、開発のシンボルとされたのがゴルフ場で、日本人によるゴルフ場建設ラッシュとなった

ハワイ島の溶岩ばかりのところに、西武の堤氏がゴルフ場、ホテルを大開発し、何百億円もつぎ込んで、夢のようにすばらしいリゾートを建設したが、バブルがはじけた時、激安で米のホテルに売り払った。

1989年、三菱地所が2000億円で購入したニューヨークのロックフェラー・センターは当時の日本企業による国外不動産、買い漁りの象徴となった。

バブル崩壊後、日本企業はこれらの不動産のほとんどを、借金返済のために半値以下で手放した。

ソニーによるコロムビア映画買収をはじめ、潤沢な資金を得た企業が海外不動産、海外リゾートへの投資、海外企業の買収を行なった。土地を担保に大金を借り入れた中小企業オーナーや個人も、海外の不動産投資に邁進した。

そして、“ザ セイホ”の名で知られる、日本の生命保険会社各社が世界中の大都市のビル、不動産を買いまくって、脅威の存在と言われた。

こうした世界情勢の中で、政治的に安定している上に空前の好景気で、投資先として非常に大きな魅力を持つことになった日本は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の呼び声とともに、日本人1人あたりの所得が米を超えるにいたるや、米国においてさえ、”日本に学べ”という声が出るほど好景気に沸き立った。

一方で、象徴的ビルや企業が日本企業の手に渡ったことにつき、“日本脅威論”が噴出し、“日本たたき”が起こったのもこの頃だ。

格安航空券の売り上げ増大に合わせ、海外旅行者が増加したのもこの時期からである。1986年には550万人程度だった海外旅行者が、4年後の1990年には1000万人を突破した。日本からの団体旅行がカナダにも押し寄せ、ツアー会社も日本レストラン、おみやげ屋さんも笑いがとまらないくらい儲かったと聞く。

日本から、海上自衛隊が数隻で船団を組み、演習でバンクーバーに寄った際、ドルの札束を船にいっぱい積み込んでいたともいう。

ゴルフ場の会員権の価格は高騰し、その頃、数千万円もするのもあった。日本の会社の重役たちは週末、バンクーバーにゴルフをしによく飛んできたという。

英国ロンドンの日系証券会社のクリスマスパーティーは5スターホテルで盛大にやり、社員に、エルメス、ロイヤルドールトン、ウェッジウッドなどの豪華なクリスマスプレゼントを大判振舞いした。

バブルまっさかりの頃、金融、土地、資産運用でぼろ儲けしたことを吹聴し、本業そっちのけで「財テク」に腐心する企業もいっぱいでた。

潤沢な資金による買いあさりの対象は、NTT株公開に伴う一般投資家による投資や、ポルシェなどの高級車、絵画や骨董品にまで及び、企業や富裕層のみならず、普通の人まで高級ブランドを買いあさる一大消費ブームが起きた。

バブルとは、その名のとおり泡のように実体のないものを意味する。バブル経済とは、実体経済から大幅に乖離して、異常に資産価格が高騰した状態である。不動産や株式の資産価格が、投機によって異常に上昇し、その上昇が魅力となって、更なる投機を呼ぶという循環が起こる。活発な投資、消費が行なわれ、実体経済も活性化する。しかしながら、バブル経済は、活性化したといっても中身がないので、本来長く続くものではなく、1986年12月から1991年2月までの51ヶ月間しか続かなかった。

その後、バブルがはじけて、証券会社、銀行、保険会社、企業がどんどんつぶれ、個人も破産し、日本中が不良債権で膨れ上がった。その不良債権減らしを、国は国民の犠牲のもとに処理した。日本の銀行に預けてもゼロ金利、国民もそれによく耐えたものだ。銀行に預けても利子をくれず、銀行の利益を預金者に還元しないで、不良債権減らしにやっきになったのだから。

fraser_Sep2012

Jun 25

第3話
資源大国になるか、日本?
メタンハイドレートと海底熱水鉱床
その1 メタンハイドレート
日本近海に眠るメタンハイドレードと海底熱水鉱床で、日本は一気に資源大国になる可能性がでてきた。かつての黄金の島ジパングは、21世紀海底資源大国、日本として甦ろうとしている。
メタンハイドレートや海底熱水鉱床、石油・天然ガスなど海洋資源開発は海洋国家である日本の生命線であり、50兆円を超える金属埋蔵量があるともいわれ、将来的に日本が資源輸出国に転じることも夢ではあるまい。
今年5月5日、日本の全ての原発54基が全面停止し、夏の電力不足が懸念されている。石油、天然ガスの資源輸出国はそんな日本のお家事情を見てプレミアムをつけて売ってくる。ずっと黒字を続けていた貿易収支も、昨年、赤字に転落。このままでは、千兆円の借金大国日本は、欧州の次にやばいともいわれている。
昨年3月11日の大地震、福島第一原発の事故後、原子力への安全神話も崩れ、国民は原子力発電について、政府への不信感を強め、原発再稼働へのハードルは高い。福島第一原発の収束のめどもたたず、放射能汚染は広がっている。まして、万一、放射能火災が起こると、人類はまだ、それを消火する方法を開発できておらず、福島第一原発の事故は、首都圏壊滅どころか、地球規模の大惨事となる一歩手前だったことが報道され国民を震撼させた。
日本は石油、天然ガス資源には恵まれなかったが、次世代エネルギー、メタンハイドレートと海底熱水鉱床は日本近海に豊富に埋蔵されている。安定的な供給が実現すれば“夢のエネルギー”となり、日本復活へのカギとなる期待が高まっている。日本は小国で、陸地面積は世界60位だが、排他的経済水域は世界6位と海洋国日本はぐーんと大きくなる。その海底に最近、色々な資源が見つかり、海洋国日本の大きな隠し財産といわれ、原発全停止のこの機に、救世主が現れた感じだ。
メタンハイドレートとは、メタンは天然ガス、ハイドレートは水和物で“燃える氷”ともいわれる。天然ガスの主成分であるメタンが、低温高圧状態で水分と結び付き結晶化した氷のような物質、永久凍土の地下深くや深海に埋蔵が確認されており、採掘して結晶からメタンガスを取り出せば、都市ガスの他、火力発電向け燃料として使用できる。
石炭の10倍の密度を持つメタンハイドレートは燃焼率が高く、クリーンなエネルギーとして注目を集めている。また、その埋蔵量は全世界の天然ガス、石油、石炭を合
わせた化石燃料の総埋蔵量の2倍以上といわれる。
メタンハイドレートは海底にいっぱいあり、海底の穴を通って泡が出る。そこからでるメタンをえさにする微生物がいて、カニはその微生物を食べに集まってくる。すなわち、カニが多くいるところに、メタンハイドレートがあるというわけだ。メタンの泡が魚群探知機で簡単にさがせるというのだ。
メタンハイドレートは環太平洋地震帯にいっぱいあるという。プレートとプレートがぶつかりあう所、つまり地震がたくさんある所、特に、日本近海に断トツにあることがわかってきた。皮肉にも、今まで、石油とか天然ガスがたくさん出てきた中東にはほとんどない。石油とか天然ガスは、地殻変動の少ない所に閉じ込められてつくられ中東とか地震が起きない所に集中していた。人類最後の埋蔵資源、メタンハイドレートは、その逆で地震が起きる所にある。
日本領海には日本国内で使用する天然ガスの約100年分の量に相当するメタンハイドレートが埋蔵していると見られる。また、日本近海の海溝には日本国内の天然ガス消費量14年分に相当する約1兆立方mが埋蔵されていることが確認されている。しかも、東京から約2千km離れている南鳥島近海の鉱床にハイテク産業に欠かせないレアアースやマンガン、コバルト、ニッケル、プラチナ、ネオジウムといった鉱物の埋蔵も確認され、日本が中国へのレアアース依存から脱却する日も近いかもしれない。
メタンハイドレートの研究は2001年から始まり、最近、愛知県沖で世界初の採掘実験をした。しかも、日本海には海底の上に露出したメタンの塊がいっぱいあるのが確認され、これらは、簡単に採掘可能だ。
昨年カナダで行なわれた実証実験では、従来の石油・天然ガス採掘技術の応用である「減圧法」による採取に成功。今年3月上旬にはロシアのバイカル湖で清水建設がロシアの研究機関と共同で、湖底の表層面から連続回収する実験に成功するなど、実用化へ向けて着々と開発が進んでいる。
政府は2018年度をメドにメタンハイドレートの実用化技術を確立し、2019年からは商業生産を開始する方針を打ち出した。
メタンハイドレートの実用・商業化を狙っているのは日本だけではなく、メタンハイドレートに関する開発が世界で始まっている。竹島のあたりには、メタンハイドレートがいっぱいあることが、韓国の調査でもわかっている。また、北方領土にメドベージェフ大統領が歴代の大統領で初めて訪れたのはメタンハイドレートが理由ともいわれている。
尖閣諸島海域にも莫大な石油が眠っている可能性があるという。領土をめぐり、各国の資源争奪戦が熾烈になりそうだ。

第3話 資源大国になるか、日本? (2012年6月)

メタンハイドレートと海底熱水鉱床

その1 メタンハイドレート

日本近海に眠るメタンハイドレードと海底熱水鉱床で、日本は一気に資源大国になる可能性がでてきた。かつての黄金の島ジパングは、21世紀海底資源大国、日本として甦ろうとしている。

メタンハイドレートや海底熱水鉱床、石油・天然ガスなど海洋資源開発は海洋国家である日本の生命線であり、50兆円を超える金属埋蔵量があるともいわれ、将来的に日本が資源輸出国に転じることも夢ではあるまい。

今年5月5日、日本の全ての原発54基が全面停止し、夏の電力不足が懸念されている。石油、天然ガスの資源輸出国はそんな日本のお家事情を見てプレミアムをつけて売ってくる。ずっと黒字を続けていた貿易収支も、昨年、赤字に転落。このままでは、千兆円の借金大国日本は、欧州の次にやばいともいわれている。

昨年3月11日の大地震、福島第一原発の事故後、原子力への安全神話も崩れ、国民は原子力発電について、政府への不信感を強め、原発再稼働へのハードルは高い。福島第一原発の収束のめどもたたず、放射能汚染は広がっている。まして、万一、放射能火災が起こると、人類はまだ、それを消火する方法を開発できておらず、福島第一原発の事故は、首都圏壊滅どころか、地球規模の大惨事となる一歩手前だったことが報道され国民を震撼させた。

日本は石油、天然ガス資源には恵まれなかったが、次世代エネルギー、メタンハイドレートと海底熱水鉱床は日本近海に豊富に埋蔵されている。安定的な供給が実現すれば“夢のエネルギー”となり、日本復活へのカギとなる期待が高まっている。日本は小国で、陸地面積は世界60位だが、排他的経済水域は世界6位と海洋国日本はぐーんと大きくなる。その海底に最近、色々な資源が見つかり、海洋国日本の大きな隠し財産といわれ、原発全停止のこの機に、救世主が現れた感じだ。

メタンハイドレートとは、メタンは天然ガス、ハイドレートは水和物で“燃える氷”ともいわれる。天然ガスの主成分であるメタンが、低温高圧状態で水分と結び付き結晶化した氷のような物質、永久凍土の地下深くや深海に埋蔵が確認されており、採掘して結晶からメタンガスを取り出せば、都市ガスの他、火力発電向け燃料として使用できる。

石炭の10倍の密度を持つメタンハイドレートは燃焼率が高く、クリーンなエネルギーとして注目を集めている。また、その埋蔵量は全世界の天然ガス、石油、石炭を合

わせた化石燃料の総埋蔵量の2倍以上といわれる。

メタンハイドレートは海底にいっぱいあり、海底の穴を通って泡が出る。そこからでるメタンをえさにする微生物がいて、カニはその微生物を食べに集まってくる。すなわち、カニが多くいるところに、メタンハイドレートがあるというわけだ。メタンの泡が魚群探知機で簡単にさがせるというのだ。

メタンハイドレートは環太平洋地震帯にいっぱいあるという。プレートとプレートがぶつかりあう所、つまり地震がたくさんある所、特に、日本近海に断トツにあることがわかってきた。皮肉にも、今まで、石油とか天然ガスがたくさん出てきた中東にはほとんどない。石油とか天然ガスは、地殻変動の少ない所に閉じ込められてつくられ中東とか地震が起きない所に集中していた。人類最後の埋蔵資源、メタンハイドレートは、その逆で地震が起きる所にある。

日本領海には日本国内で使用する天然ガスの約100年分の量に相当するメタンハイドレートが埋蔵していると見られる。また、日本近海の海溝には日本国内の天然ガス消費量14年分に相当する約1兆立方mが埋蔵されていることが確認されている。しかも、東京から約2千km離れている南鳥島近海の鉱床にハイテク産業に欠かせないレアアースやマンガン、コバルト、ニッケル、プラチナ、ネオジウムといった鉱物の埋蔵も確認され、日本が中国へのレアアース依存から脱却する日も近いかもしれない。

メタンハイドレートの研究は2001年から始まり、最近、愛知県沖で世界初の採掘実験をした。しかも、日本海には海底の上に露出したメタンの塊がいっぱいあるのが確認され、これらは、簡単に採掘可能だ。

昨年カナダで行なわれた実証実験では、従来の石油・天然ガス採掘技術の応用である「減圧法」による採取に成功。今年3月上旬にはロシアのバイカル湖で清水建設がロシアの研究機関と共同で、湖底の表層面から連続回収する実験に成功するなど、実用化へ向けて着々と開発が進んでいる。

政府は2018年度をメドにメタンハイドレートの実用化技術を確立し、2019年からは商業生産を開始する方針を打ち出した。

メタンハイドレートの実用・商業化を狙っているのは日本だけではなく、メタンハイドレートに関する開発が世界で始まっている。竹島のあたりには、メタンハイドレートがいっぱいあることが、韓国の調査でもわかっている。また、北方領土にメドベージェフ大統領が歴代の大統領で初めて訪れたのはメタンハイドレートが理由ともいわれている。

尖閣諸島海域にも莫大な石油が眠っている可能性があるという。領土をめぐり、各国の資源争奪戦が熾烈になりそうだ。

fraser_jun2012

Mar 5

永遠の資産、金の話 その2 (2012年3月号)

世界の金の保有量は16万トンと言われている。量にするとオリンピックプール3杯分程度となり、金額に換算すると、約640兆円(1g=4,000円換算)となる。

日本国の借金1000兆円であるから、世界にはそれよりも少ない金資源しか存在していないことになる。

16万トンの内訳は、宝飾品:8万4千t、民間投資用:3万t、公的保有:2万9千t、となっており、宝飾品が全体の約半分を占めている。

金の埋蔵量は残り7万6千tと言われており、現在のペースで掘れば、約25年で掘りつくされる計算だ。

国家・中央銀行などの準備金、公的保有量は、約2万9千t。特にアメリカの保有量は9千tと全体の30%を占め、群を抜いている。

今、欧州債務危機に抜本的な解決が見いだせない状況の中で、今後の金価格はどうなるのだろうか?

米ドルの世界覇権の対抗馬として欧州勢が団結、ドルに替わるべくユーロは、1999年華々しいデビューを飾った。産油国もユーロでの決済を要求するほど一時は強勢を誇ったが、10年経った今、ユーロは存亡の危機に瀕している。ずっと戦争を繰り返していた国々が仲良く、同じ通貨を使うことで領域内経済力も活性化されたが、経済格差のある国まで次々入りだし、身分不相応の共通通貨を持つにいたりほころびが出だした。結局、ユーロはユートピアだったのか。

欧州債務危機でユーロは売られるばかり。円は今は買われているが、長期的には災害と高齢化、国家財政破綻で暴落するかもしれない。スイスフランは高くなりすぎ、ユーロにペッグしてしまった。世界には安心して買える通貨がなくなった。余りにも巨額なお札が乱発されたため、紙幣の価値が下がり、リスクヘッジとして金が買われている。

ドルの信用度は高いとはいえないが、ユーロからドルへの資金移動が顕著だ。欧州から資金が米ドル、米国債に向かい、金、銀の現物資産にシフトする。金は唯一の将来のインフレヘッジとみなされ今後も上昇が予想される。

金本位制がくずれて40年、経済が行きづまればお金を印刷、すなわち、財政赤字が増大する。お札が垂れ流された結果、より高いリターンを求めて世界中をかけめぐり、あちこちでブーム/バストを引き起こす。行き場のないお金が金、銀に向かうという構図だ。

米国は唯一の世界の基軸通貨としてドルの増刷を続ける。ドルにかわる通貨がないので、ドルの地位は揺るぎない。ユーロにはそれを支える強大な国家権力がない。金5千年の歴史、米にはドル200年の歴史と世界一の軍事力がある。その上、旧共産圏、中東もドル体制に組み込まれた。これも米が冷戦に勝利した産物といえるのか。米は財政、貿易の赤字を垂れ流したが、その結果としてドルが世界に流出し、新興国、特に中国の経済成長を助けた。

欧州の不透明感が続く限り、ドルやユーロが売られ、破綻懸念とは無縁な金に資金が流れ込む動きが続くだろう。今後、更に上値を追い、2200ドルを付ける可能性もあると予想される。

最大の金消費国である中国やインドは高インフレに悩まされており、資金が金に流れやすい状況が続く。新興国が外貨準備として年間500トン前後の金を購入しており、これが金価格の長期上昇トレンドを支える要因だ。

去年8月、中国が2.8兆円規模の米国債を売り越した。米ドルを売って何を買うのか。今まではユーロにシフトしていたが、欧州危機で円と金への分散運用を強めている。外貨準備としての金保有量は、2000年には400トンであったが現在は1200トンと3倍に増加。インド、中国の2カ国で年間金生産量2800トンの6割の買い占めだ。

金は短期的には乱高下を繰り返すが、長期的には右肩上がりのトレンドが続くと見られる。高値になると欧米の投資家が売りを出し、アジアの実需が押し目で買いを入れるというパターンだ。

数年後には日本の債務危機が世界の金価格を左右する時代が来るかもしれない。円の暴落には金保有は有効なリスクヘッジだと考えられる。

金は世界中どこでも売れ、ドルなどの通貨に替えられる。「世界に通用するおカネ」として普遍的な価値を持っており、株式、債券は“紙くず同然”になる得るリスクがあるが、金の価値がゼロになることはない。逆に永遠の輝きが増す安全資産というのが最大の魅力だ。

金投資のポイントは短期的には金のETF購入、長期的には金現物保有か金、資源物の投資信託での資産運用がお勧めといえる。

gragh201203

fraser_mar2012

Jan 12

Coming Soon…