最近、60代の男性が、“リタイア後は、CPP$200、OAS$300で毎月、全部で$500の年金が受け取れる。持ち家もなく、アパートを借りて住んでて、家賃が$700なので、CPPとOASだけでは、アパート代にもならない。どうやって生活していけばいいの?”と嘆いておられました。貯金もほとんどなく、リタイア後どうして生活しようかと思い悩んでいるとのことです。こういう方が結構多いです。60歳になってから、老後資金を貯めるには、時間がないので、たぶん、もっと何か他の仕事をしてでも、働き続けざるを得ないでしょう。知り合いの80歳を過ぎた女性もMcDonaldでお掃除の仕事をしていますし、70歳以上の方もSearsやBayで働いている姿をよく見かけます。もちろん、働くのが好きでやっている方もいるでしょうが、働かざるを得ないので、働いているケースがほとんどです。老後はゆったり、海外旅行や、趣味でバラ色の生活をしている方もあれば、生きていくため、死ぬまで働かざるを得ない人も非常に多いのが実情です。
カナダの公的年金はCPPとOASで40年働くと満額もらえます。満額はCPP(毎月約$1,000)、 OAS(毎月約$550) で合計$1,550です。移民で来た人たちは、CPPが毎月$50、$100、$200しかもらえないとか、OASが毎月$100、$200だとかよく聞きます。移民はカナダでの勤労年数が短いので、CPP, OASを満額もらっている人は少ないですが、たとえ、ここ生まれの人でも満額は、たった$1,500ぐらいなので、とてもゆとりある老後には程遠いです。
今日は一部の恵まれた人たちではなく、大多数の人たちの老後資金のお話をします。
私たちは、死のリスクより、今、長生きするリスクに直面しています。毎年、寿命が延び、日本人は世界で一番長生きします。最近のニュースで100歳以上が日本に5万4千人以上いるとのことで、これからももっと平均寿命が延びるとのことです。しかもDNA、iPSの治療で人類は将来150歳ぐらいまで生きるのが可能になるということです。そうした場合、長生きするのはいいが、お金が続かなくなるリスクが生じます。
それでは、いったい、定年後の生活にいくら必要なのでしょうか?
各個人の生活レベルによっても大きく異なります。贅沢をしないで、ただ、生きていくだけなら、夫婦二人で、$2,000 もあれば暮らせるかもしれません。でもゆとりをもって、海外旅行や、趣味で優雅にやりたければ$3,600ぐらいは必要でしょう。
夫婦65歳の必要な平均生活費を$3,000とします。だいたい、働いている時の収入の70%が目安です。この金額はリタイア前にモーゲッジ、その他ローンは払い終え、子供たちも自立していることを前提に算出しています。
共に85歳まで生きたとして、$3000 x 12ヶ月 x 20年 = $720,000 。もし、100歳まで生きれば、$3000 x 12ヶ月 x 35 年= $1,260,000 老後の生活費だけでこれだけ必要です。
これ以外に旅行、趣味、病気、介護費用、家リフォーム、子供への援助資金、その他の資金も必要ですので、ざっと$1millionぐらいは必要ということになります。
近年の財政縮小と少子高齢化で、公的年金は先進各国、支給開始年齢が引き上げられ、金額も2-3割減額されることが予測されます。既にアメリカ、ドイツ、カナダは67歳、イギリスは68歳への引き上げを決めています。
普通の勤め人にとって$1 millionを貯めるのは、ほぼ不可能なので、40歳から65歳までに$250,000の資産をつくることを目標にするなら、今後25年間で毎年、$10,000づつ貯める必要があります。年金のような長期的な運用は、保険会社が元本保証する個人年金プランのいいのを出しています。それは、生涯にわたり、年金収入を保証し、今のような、不安定なマーケットでも、元本保証があるので安心です。
ここに、いくつかのプラン例を作りました。
老後資金を40歳から65歳まで、25年間、初回投資額$25,000でその後、毎年、$10,000、 $5,000、$2,500を元本保証型個人年金プランで貯めていくと、それぞれ、65歳から、毎月、$2,011、 $1,172、$752 の 年金が一生もらえます。また、$100,000一括投資したら、25年後、毎月、$1,331が一生もらえます。貯めていってる間は、運用益プラス、3.5%のBonusも加算され、それが将来の年金原資になります。
それでは年金不足額をどのように貯めればいいか、元本保証の年金プランで安全に積み立て、上手に今から老後資金を作る必要があります。
30代、40代、50代は、毎日の生活費、モーゲッジ、子供の教育費、老後の資金作りのトリプルパンチに苦しんでいる家庭が多いです。やりくりに追われる中で、老後資金確保もたいへんですが、少しづつ準備していきたいところです。
(月刊ふれいざー2013年10月号掲載)